導入
このブログのキャッチコピーは「未来の自分のための技術メモ、時々あなたのためのヒント。」ですが、今回はサーバー上でファイルを編集する際の強力な相棒、「Vim」を自分好みに育てるためのヒントです。
Linuxサーバーを操作していると、必ずと言っていいほど出会うのが、黒い画面のテキストエディタ「Vim」です。最初は独特な操作に戸惑うかもしれませんが、少し設定をカスタマイズするだけで、驚くほど快適で高機能なエディタに生まれ変わります。
この記事では、私が長年使い続けている設定ファイル.vimrc
の中から、特に初心者の方が「これだけはやっておきたい!」という基本的なカスタマイズをご紹介します。
.vimrcとは? Vimの「設定ファイル」
.vimrc
は、あなたのホームディレクトリ(~/
)に置く、Vim専用の設定ファイルです。このファイルに「行番号を表示して」「タブはスペース4つ分にして」といった設定を書き込んでおくことで、Vimを起動するたびに自動でその設定が適用されるようになります。
まさに、あなただけのVimを育てるための「設計図」のようなものです。
Step 1: 見た目を整える(基本の表示設定)
まずは、コーディングが格段にしやすくなる、見た目に関する基本的な設定です。これだけでも、デフォルトのVimとは見違えるほど使いやすくなります。
" シンタックスハイライトを有効にする(コードを色付け)
syntax on
" 左側に行番号を表示する
set number
" 今カーソルがある行を、分かりやすくハイライトする
set cursorline
" タブキーを押した時の幅を、スペース4つ分に設定
set tabstop=4
" 自動でインデント(字下げ)する時の幅も、スペース4つ分に
set shiftwidth=4
" タブキーが押されたら、タブ文字の代わりにスペースを入力する
set expandtab
" 改行した時に、自動でインデントを引き継ぐ
set autoindent
Step 2: 検索機能を強化する
ファイル内の文字を検索する機能は、プログラミングやログ調査で頻繁に使います。少しの設定で、この検索がもっと快適になります。
" 検索する時に、大文字と小文字を区別しない
set ignorecase
" ただし、検索文字に大文字が一つでも含まれていたら、区別して検索する
set smartcase
" 検索にヒットした文字を、ハイライトして分かりやすく表示する
set hlsearch
特にsmartcase
の設定は非常に賢く、「hello
」と検索すればHello
にもヒットし、「Hello
」と検索すればHello
にだけヒットする、という柔軟な検索を実現してくれます。
Step 3: 操作性を少しだけ変える(キーマッピング)
Vimの操作に慣れてくると、「このキーがもう少し押しやすければ…」と感じることがあります。そんな時は、キーの役割を自由に変更できます。
" Escキーは遠いので、「j」を2回連続で押したらEscキーと同じ動作にする
inoremap jj <Esc>
Vimでは、文字を入力する「インサートモード」から、コマンドを受け付ける「ノーマルモード」に戻るためにEsc
キーを多用します。ホームポジションから手を動かさずにモードを切り替えられるこのjj
の設定は、多くのVimユーザーに愛されている定番のカスタマイズです。
まとめ
今回は、Vimをカスタマイズするための第一歩として、.vimrc
に記述する基本的な設定をご紹介しました。
Vimは非常に奥が深く、使いこなせばマウスを使わずに、キーボードだけで驚くほど高速にテキストを編集できるようになります。
この記事が、あなたの「Vim、ちょっと使いにくいな…」という気持ちを、「お、これなら使えそう!」に変える「ヒント」になれば幸いです。ぜひ、あなただけのエディタを育てる楽しさを体験してみてください。
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